祖父の家にある刀剣が入った大きな金庫

奈良県の端っこの方に住んでいる私たち一家は、ちょっと変わった家屋に居住しています。私の家は別になんていうことのない、普通の一軒家なのですが、同じ地域に住んでいる祖父の屋敷は別です。
何でも築100年は経過しているという話の、大きな平屋造りの「お屋敷」なのですが、正直冬は寒くて夏は暑いという、かなり困った住環境をしており、私たち親戚があまり泊まりたいと思わないような家屋なのです。

父や母は「一緒に住むから、建て替えたい」と思っている様子なのですが、これに猛反対しているのが祖父と祖母。彼ら曰く、「この家は江戸時代から続く私たち一家の歴史そのもの。地域の顔役でもある我が家が、『寒いの暑いの』なんぞの理由で屋敷を建て替えられるか!」とのことです。

k_027そうなのです。私のような若い世代には、もうあまり意味がないステータスだと思うのですが、我が家は古くからある旧家で、一応地域の顔役といった立場にあり、これが理由で古臭い古民家にいつまでも住んでいるという次第なのです。

実際、色々と歴史を感じるアイテムが祖父の家にはたくさんあります。例えば、「名工が作ったとされる刀剣が入った大きな金庫」とか、「狩野派の掛け軸(ただしスゴク汚い)」などなど。
それらの小物は置いておいてもいいから、何とか屋敷を建て替えられないかなと両親が相談しており、子供の私としても、「困ったじいいちゃん、ばあちゃんだなぁ」と思ってしまうのでした。