部屋の合鍵じゃなく、金庫の合鍵を渡されました!

私は東京の下町で生まれましたが、母の教育方針によって、「分不相応」と自分では感じるような女子高に通っています。この学校、要するに世間一般で言うところの「お嬢様学校」と呼ばれるような高校になるのですが、どうして下町育ちであまり上品とは思えない自分がそんなところに通っているのか、入学して1年経過した今でも不思議でなりません。

私をこのお嬢様学校へ入れると言い出した母親も、実家はごく普通のいわゆる「中流家庭」で、こんな豪華で瀟洒な学校と縁があるとは思えません。どうも母方の祖母の話では、母が個人的にこの高校の経営者と関わりがあり、それを縁として私を入学させたとのことですが、本人はこの辺りの事情についてはあまり話したがらないため詳細は不明です。

k_025まぁ経緯はこのように不思議な流れなのですが、今は私もこの学校にどうにか馴染み、周囲とも仲良くやれているので、「まぁ良いか」と思うことにしています。
実際、このお嬢様学校に通う私以外の友人たちは、小さいころから「箱入り」で育てられたためとても素直で純情ですが、そこは年頃の女子らしく「男性と恋人関係になる」ことに興味を持っている子がたくさんいます。そんなところに、去年卒業した先輩方が学校に遊びにきて、「私、お付き合いし始めた男性に部屋の合鍵じゃなく、金庫の合鍵を渡されました!これはどう解釈すれば良いと思いますか?」などと、世間一般と少しズレた「男女交際」の話を持ち込んで来たりするものですからたまりません。お嬢様特有の一般的な間隔からはズレがある格好で話が盛り上がり、収拾がつかなくなってしまうのです。私も入学した当初は、このどこかマンガのようなノリに付いていけず、「え、自分の方がおかしいのかしら?」と思ったものです。